九千部山−基山:5月15日(晴れ)

背振山地縦走東部の残り、九千部山−基山編。朝、色々と調べてたら出発が遅くなり、9時過ぎに家を出る。電車を乗り継いで吉野ヶ里公園駅に着いたのが11時過ぎ。前回、坂本峠までは到達していたので、今回は坂本峠から九千部山−基山を経由し、原田駅へ下りるコースにした。時間がなければ、途中の大峠か柿ノ原峠のいずれかで町へ下りることも想定しておいた。坂本峠までの公共交通機関が無いため、今回は仕方が無く、タクシーを利用。駅前でドアを開けて待っていた一台に乗り込み、行き先を告げる。特に驚いた様子も無く淡々と出発。運転手曰く、日曜は登山客がちょくちょく利用するそうだ。前回、歩きで2時間かけて下りてきた山道をぐいぐい登る。20分ほどで坂本峠着(11:30)。車だとあっという間だ。料金は3180円也。安いか高いか。やっぱり高いよなあ。バスがあれば絶対に乗らないのだか。


車道を少し歩き、七曲峠へ向かう登山道に入る。登り口付近の斜面は杉の苗木で覆いつくされていた。日本中、至るところ杉の人工林だらけなのに、まだ植える必要があるのだろうか。20分ほどで七曲峠着(12:00)。九千部山へ続くの登山道に入る。登山口の案内板によれば、九千部山まで5.3km(約2時間半)、九千部山から基山まで9.7km(約4時間)とのこと。コースタイム通りならば基山に着くのが18時半になるので、今日は途中で町へ下りることに決めた。しばらく緩やかな登りが続く。すぐ隣に車道が見える。少しキツイ斜面を登りきると、石谷山と九千部山の分岐に出た。石谷山まで0.3kmとあるので寄ってみることに。5分ほどで石谷山山頂着(12:50)。森の中にベンチと三角点があるだけで、展望は全く無い。ここで遅い昼食。いつものおにぎり弁当を急いで食べて、分岐に戻る。


分岐から九千部山までの道は広くて、様々な種類の広葉樹に囲まれおり、とても気持ちの良い道だ。木々には樹種と簡単な説明が載った札がかかっていて、色々勉強になった。山帽子はやはりミズキ科だった。所々、道に自転車(MTB)の轍がある。ほとんど高低差のない幅広の道だから自転車遊びにうってつけなのだろう。ハイカーにとっては迷惑なんだろうが。


広葉樹林帯を抜けると、鉄塔のある広場に出た。山頂一帯にはNHKや民放各局の電波塔が乱立している。九千部山山頂の場所が良く分からず、施設横のフェンス沿いを適当に歩いていたら、展望台のある場所へ出た。展望台の下のベンチでオジサンが一服している。一目で、以前井原山で会ったオジサンだとわかった。わたしの方から「井原山でお会いしましたよね?」と声をかける。向こうも「ああ」と驚きながら、すぐにわかった様子。前に会った時、オジサンが関西出身で、去年の秋から脊振の山々を歩いていると言っていたので、いずれ会うかもなあとは思っていたが、本当に会ってしまった。オジサンは原田駅から基山経由で九千部山に来たらしい。5時間ぐらいかかったとのこと。やはり、今日中に基山は難しいのか。展望台に登り、オジサンと色々話す。彼は脊振山地の山は大体登ったらしいが、今回は縦走路をつなぐための山行とのこと。結構やってることが似ていてる。彼も車は使わないようだ。最後に名前を教えあって山頂を後にする。30分ほどしゃべってしまった。


しばらく車道をし下りて、道の脇から「九州自然歩道」に入る。入口が二つあり迷うが、手前側(山頂側)の入口は、少し進むと道が崩落していて、通行止めになっていた。しばらく暗くてジメジメした道が続き、石段を下りると大峠に出た(15:00)。ここから河内方面に車道を下って、バスで帰っても良かったのだが、バスが16:18までないので、次回のことも考え、なるべく距離を稼ごうと思い、次の柿ノ原峠まで行ってみることにした。車道を少し歩き、柿ノ原峠へ至る山道に入る。最初の石段が200段ぐらいあるように感じ(実際はもっと少ないかも知れないが)、かなり堪える。途中、権現山への分岐があり、0.1kmとあるので寄ってみる。100mほど進むと「山」と彫られた石がデンと置いてあり、これが山頂かと思うも、看板がない。そこから先は藪になっている。おかしいなあと思いながら藪をかき分け進むと赤テープが現れ、しばらく行くと山頂に着いた。半坪ほどの暗い山頂。写真を撮ってすぐに引き返す。0.2kmぐらいあったような気がする。本道に戻り、しばらく進むと左手に大きな学校のような施設が見えてきた。どうやら知的障害者の為の施設のようだ。施設横の舗装路を下ると柿ノ原峠に出た(15:47)。今日はここで縦走を終了にし、町へ下ることにする。左を向くと「福岡県筑紫野市」の看板がある。右は佐賀方面だ。どちらに行くか迷い、地図を確認したら、町までは佐賀方面の方が近そうなので、佐賀方面へ下る。


車道をしばらく下ると、左手に基山へ至る登山口を発見。基山まで4.5kmとある。このまま車道を下って、鳥栖方面に抜けるにしても、最低10kmは歩かねばならない。思案した末に、基山へ向かうことにする。すでに16時前だったので、何とか17時には基山に着きたい。日が傾き暗くなった竹林に入る。不必要かつ歩きづらい石畳をしばらく歩かされ、15分ほどで里へ出た。都会人が田舎暮らしを楽しんでいると思われる改築された家々の間を縫って、基山へ向かう。この里から基山までは完全なる舗装路だ。車道の脇に所々設置されている「九州自然歩道」の看板が白々しい。時折、ランニングをしている人や山菜取りの人などとすれ違う。基山までの距離を示す道標にはげまされつつ、都会で朝の駅構内を歩くスピードと同じぐらいの速度で、舗装路をひたすら進む。


小一時間歩くと、目の前に青々とした芝生に覆われた草スキー場が現れた。スキー場の斜面が最後の登りだ。かなり堪えるが、後ろを振り向くと九千部山から脊振山までが一望でき、脊振山地縦走東部の終点なんだなあと少しばかり感慨深い。芝生に覆われた広場には、子供連れが一組、単独で草スキー場を登ってきた女性が一人いた。まず、佐賀側の展望台から町を見る。なかなか良い眺め。山頂の中心部に戻り、各方面の山の名が刻まれた方位盤にたどり着く(17:00)。三角点の所在は分からなかった。下の町から17:00を知らせる放送が聞こえる。急いで原田駅方面に下ることにする。ここからは道が全く分からないので、大体の方角をたよりに下山することに。


山頂から北へ少し下ったところに、「史跡巡りコース」の看板のある登山道を発見。しかし、史跡を巡っている場合ではないので、そこを通り過ぎ、適当な脇道に入る。しばらく行くと「北帝城址」の石碑があり、そこから暗い杉林になった。しばらくすると、九電の鉄塔整備用道と思われる黒いプラスティックの階段のある道に入ってしまった。いくつかの分岐を過ぎ、鉄塔を二つほど越えたら、林道に突き当たった。林道を下りると筑紫野市の山口という里に出た(17:45)。原田駅よりずいぶん北側に下りてしまったようだ。目の前に宝満山が見えたので、それをたよりに車道をひたすら歩く。基山までの車道歩きが堪えたのか、足首が痛い。登山靴での車道歩きは一日10km以内だな。一時間近く歩き、JR二日市駅着(18:45)。基山から原田駅までのルートが気になるが、一応、脊振山地縦走の東部は完了。あとは西部の羽金山から十坊山までの区間のみ。

  
歩行距離:23km